「主張」はもっと論理的に |
産経「主張」は、アメリカの言うとおりにすることが日本の国益に適うと考えているようだ。 そうであっても、TPP参加についてそれなりに論理的に話を進めてもらいたいものだ。
主張は、「TPP参加は、関税撤廃など交易条件を大幅に改善することになり、長期的には、こうした産業空洞化の回避にもつながる」と述べている。 どうして、関税撤廃が長期的には産業空洞化の回避につながるのか説明がない。 いや、説明が出来ないからだろう。 関税撤廃によって日本の輸出が伸びる余地はごくわずかでしかない。 関税率、貿易高の数字をを調べれば明らかである。 そして、もし、輸出が伸びるとしても輸出産業は、結果として円高をもたらし、比較的競争力の弱い輸出産業が打撃をうける。 強い産業でさえ、円高に耐えかねて海外に生産拠点を移す。
主張は、また、
「TPPはまた、流通や通信などサービス分野のルール共通化を通じた新たな世界標準づくりを目標に置いている。日本が交渉の枠外にいることは、それだけでも決定的なダメージを負いかねない。」 とも述べている。
TPPの対象は、工業製品と農業だけではない。 「主張」が指摘しているように流通やサービスを含めた全分野の関税が撤廃されることである。 そして、新たな世界標準が作られるという。 つまり、アメリカ標準が適用されることになる。 医薬品であれ、食品であれ、医療であれ、金融サービスであれ。 農業が論点に挙がっているが、この標準のほうが恐ろしいかもしれない。 関税権を失うだけでなく、安全性などを確保するための規制、監督権を失うことを意味する。 BSE牛肉は全頭検査せずに流通するようになるかもしれない。 遺伝子組み換え穀物もアメリカ同様に流通するようになるかもしれない。
「主張」 は、TPPにに伴う世界標準の導入というという重要な指摘をしている。
「主張」の言うとおり、TPPは先延ばしするべきではない。 不参加と速やかに結論を出すべきだろう。